8月23日(水)、2学期の始業式が行われ、2学期がスタートしました。夏休み期間中、生徒は夏季補習や各部の遠征・大会と、勉強や部活に熱い夏を過ごしたことと思います。
始業式前には、ビーチバレー女子ジュニア選手権大会で第3位に入った、重親さん、井山さん
Nコン県大会及び全日本合唱コンクール県大会で金賞を受賞しともに中国大会に進む合唱部
全国高総文祭囲碁部門で島根県チームの主将として第5位入賞した今岡さんの表彰伝達がありました。



吉田校長先生平成29年度2学期 始業式のことば

1学期の終業式から約1ヶ月経ちました。どんな夏休みだったのでしょうか。1学期の終業式にはこの夏休みに取り組んでほしいことを述べました。1年生は「課題克服」、2年生は「ビジョンを描く」、3年生は「○○三昧の日々を送る」でした。覚えていますか。自分の夏休みを振り返り、十分できなかった人は取り戻し、この2学期をどう過ごすか決意してほしいと思います。

さて、1週間後には最大のイベントである学園祭が始まります。今年のテーマは「終わらない青春、始まる鹿城祭 ~社高の本気見せてみない?~」です。私は、この中の「本気」という言葉に注目したいと思います。

本気で取り組もうとする人の所に、人は集まります。本気でやろうとする熱意が周りを動かします。互いの得意を生かし、足りないところを補い合い、協力して物事を達成する経験を持つことが大事です。学園祭は、そのような貴重な経験をする場でもあります。学園祭が単なる楽しい行事で終わるのではなく、これからの学校生活の活力になることを期待しています。そのためにも、各自が自分の「本気」を発揮し、全体に貢献する意識で取り組んでもらいたいと思います。

さて、大社高校は来年、創立120年を迎えます。その歴史と伝統を支えるのは先輩たちの「本気」です。大社高校には、様々な分野で活躍したあるいは活躍している卒業生がいます。文化関係では、将棋の里見香奈さん、歌手の 竹内まりや さんなどを知っていると思います。

政治、経済、学術、スポーツなどの分野でも活躍したあるいは活躍している多くの先輩がいます。

8月13日に「いなさ会」の総会を行いました。「いなさ会」とは卒業生会のことです。講演講師として、本校体育科2期卒業生の伊藤隆司さんを招きました。伊藤さんは、スポーツ写真家として世界を飛び回っていらっしゃいます。日本や世界のアスリート・監督・コーチとのエピソードなど楽しく聞かせてもらいました。それと同時に、このような分野で活躍している卒業生がいることを生徒の皆さんにも伝えたいと思いました。サッカーワールドカップなどの写真集を寄贈してもらっています。図書館に展示してありますので見てください。(講演要旨は本校HPに掲載しています。)

もうひとりの先輩を紹介します。その人とは、加藤辨三郎さんです。協和発酵工業株式会社の創業者であり初代社長であった人です。現在は、協和発酵キリン株式会社となり製薬部門で日本をリードする会社となっています。1899年のお生まれで84歳でお亡くなりになりました。加藤さんの遺品は長らくこの会社に展示してありました。このたび、ご遺族のご意向で、母校である大社高校に寄贈されることになりました。

加藤さんは、経営者であると同時に研究者でもあり、日本の発酵技術の発展に大きな貢献をしました。発酵技術とは、微生物の作用を応用して人間に有益な物質を作る技術です。1951年には、結核の特効薬であったストレプトマイシンの技術導入に成功し、国内での大量生産が可能となり、多くの人の命が救われました。

皆さんは、「味の素」という商品名で知られている調味料を知っていますか。その主成分であるグルタミン酸ソーダを発酵技術を用いて作る方法を開発したのも、実は加藤さんがリードしたものでした。現在もその方法が使われているようです。

加藤さんは、経営理念、仏教、自伝などの分野の本を多く著しています。「光を仰いで」という著作の中にあった「若人に望む」という章の言葉から引用します。新入社員に向けた言葉です。

社会人となったからには、やはり自己を知って、そして、やたらに、社会が悪いとか、あれが悪いとか、これが悪いとかいわぬことだ。

責任はすべて自分にあり ・・・・とういうところから、愚痴のない生活が生まれ、そこにこそ、闊達な、高大な生活が生まれてくるのである。私たちの生活をせばめているものは、追いつめれば、愚痴であるともいえよう。(加藤辨三郎『光を仰いで』ダイヤモンド社、1966年)

私たちの生活態度を振り返る言葉でもあると思います。加藤さんの遺品は、鹿城祭で有朋舘2階に展示しますので、その業績や人となりを知ってもらいたいと思います。

先輩の「本気」、仲間の「本気」を自分の中に意識し、2学期のスタートを切ってください。何事も「本気」で。そして自分の進歩を意識できる2学期にしてください。

平成29年8月23日

島根県立大社高等学校

校 長 吉 田 彰 二