平成22年度総会は例年の通り8月13日(金)午前10時より有朋舘で開かれました。今年は役員の任期(3年)満了の年にあたることもあって、「いなさ会会則」が現状に合うように一部改訂され、役員の皆様は全員再任されました。別表「 いなさ会役員及び会員 」を参照ください。

また、これまで本校に贈られてきた会員からの「周年記念寄付金」は、今年度からいなさ会に寄付され、会の事業として行う有朋舘の維持管理や本校の施設改良、備品の整備等の費用に当てられることになりました。

記念講演は高校22期卒業生で、奈良市にある中高一貫教育校として有名な帝塚山中学校・高等学校の社会科の先生で、日本史を教えておられる上田晃(あきら)氏が『「古事記」編纂から千三百年 大和で考える故里・出雲』という演題でお話をされました。島根県は「神話のふるさと島根」を観光客誘致のキーワードとしてかかげていますが、平成24年(2012)に迎える「古事記編纂千三百年紀」を契機として関連事業の推進を図っており、実にタイムリーなお話で興味深く拝聴させていただきました。

先生によると、『古事記』は同時代に編纂された『日本書紀』が中国を意識した「正史」であるのに対し、国内向けの書物として書かれたもので、『古事記』に載っていて『日本書紀』に記載されていない出雲神話は、古事記神話の25%を占めているとのこと。大和にとって出雲は欠かせない国であり、その神話を丸ごと抱え込んで大和神話のアイデンテティを確立するのに利用したにもかかわらず、なぜ正史の『日本書紀』でそれが切り捨てられたのか。『古事記』と『日本書紀』の神話の構成とその内容の比較を通じてわかりやすく説明していただきました。概要は 講演要旨 をごらんください。今年、奈良では「平城遷都千三百年」に関連したイベントが盛んに開かれていますが、古事記はあまり語られていないそうです。「出雲から神の子上田晃が番内となって大和に殴り込みをかける!」と力強く宣言して話を終えられ、会場から万雷の拍手が送られました。

懇親会は午後1時15分から島根ワイナリーで開催され、千家達彦最高顧問、小川峰夫顧問も元気な姿をお見せになり、参議院議員になられたばかりの青木一彦氏(高校31期)に先輩、後輩すべての皆様から祝福の言葉が贈られるなどたいへんな盛り上がりでした。