第91回全国高校野球選手権島根大会

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大会結果

第91回全国高校野球選手権島根大会


決勝 大社3-12立正大淞南
準決勝 大社10-1出雲商業
<戦評>
出雲地区同士の戦いとなった準決勝、大社の先発は今大会初となる土江。球威はあるが課題のコントロールが心配された。出雲商は岩成。緩いボールを使って打者のタイミングをはずすのが得意である。

1回表、大社・土江の立ち上がり、1死後2者連続で四球を与え1・2塁のピンチをむかえたが、2者連続で三振を奪い、まずまずのスタートを切った。土江は三振を奪うたびにガッツポーズするなど気合いが充分であった。

試合が動いたのは3回表、ヒットと送りバントで1死2塁のチャンスに、3番間賀部が右中間に2塁打を放ち出雲商が1点を先制した。その裏、大社も1番手錢がライトスタンドにホームランを打ち、すぐに1対1の同点となった。

この試合のポイントとなったのが5回。出雲商の先頭打者が打ち上げた高いショートフライを、大社のショート松浦がまさかの落球!つづく2番打者に制球が定まらずノースリーのピンチ、ここで土江は自らに気合いを入れ、2ストライクまで追い込むと空振りの三振を奪い、飛び出したランナーをキャッチャーの手錢が2塁で刺してダブルプレー。3番打者からも三振を奪い、流れは一気に大社に傾いた。

その裏、大社打線がつながった。先頭の6番飯塚がレフト線2塁打で出塁、1死後8番土江がライト前にヒットを打ち、1死1・3塁のチャンス。9番松井の初球にスクイズを敢行したが、ボールが転がらず3塁ランナーは本塁でタッチアウト。しかし、1番手錢が四球でつなぐと2番松浦の2球目にワイルドピッチ、労せず勝ち越すことができた。そして松浦はカーブをレフトに流し打ち、2点タイムリーヒット。4対1と一気に引き離した。

7回裏、大社打線が火を吹いた。先頭の9番松井がライト前、1番手錢がセンター前ヒットで0死1・2塁のチャンス。2番松浦の絶妙なバントは内野安打となり、0死満塁とチャンスは広がった。ここで3番永見は価値ある死球。押し出しで5点目を奪った。1死後、今大会絶好調の5番大島が右中間のフェンスを直撃する2点タイムリー2塁打を放ち7対1。その後、2つのワイルドピッチと今大会初出場、代打小影のタイムリーで10対1となった。ちなみに夏の大会の準決勝ではコールドゲームは適用されない。

8回表、この回からエース永見を投入。3者凡退に抑えると、最終回も4人で仕とめゲームセット。予想に反して10対1という大差で勝利することができた。

この試合、何よりも土江の好投が大きい。ピンチには幾度となく自らに気合いを入れ、三振をとるとガッツポーズで気持ちを表現した。その好投に打線がこたえ、12安打で10得点をあげた。決勝の相手は第2シードの立正大淞南。今シーズンは初めて対戦する。エース崎田の140kmの速球にどう対応するのか、また長打力のある淞南打線をどうかわすのか。17年ぶり9回目の甲子園まであと1歩である。

準々決勝 大社6-5安来
<戦評>
手錢主将がジャンケンで負け、今大会初めて先攻となったこの試合、先制点を取って試合を有利に展開したかった。

1回表、2死後3番永見がセンター左の2塁打で出塁するも後続が打ち取られ、先制点が取れなかった。いい当たりが正面をつく、いやな流れのなか、その裏、先発は3戦連続で福間雄。先頭打者にライト前ヒットを許すと、送りバント・四球・センターフライでむかえた2死1・2塁のピンチに、5番横山にタイムリーヒットを打たれ、1点を失った。

さらに2回裏、2者連続ヒットと送りバントで1死2・3塁のピンチをむかえると、前試合と同様にエース永見にスイッチ、ところが9番黒田に左中間2塁打を浴び、さらに2点を追加された。その後、なんとか後続を打ち取った。

大社の反撃は3回表、先頭の1番手錢がセンター前ヒットで出塁し、盗塁・四球で0死1・2塁のチャンス、3番永見が三振に倒れ、2塁走者手錢が3塁盗塁に失敗してゲッツーを取られる最悪の展開となったが、4番中井の目が覚めるようなライト線ヒットで1点を返した。

しかし、その裏、ヒットとエラーと送りバントでまたもや1死2・3塁のピンチ。ここでバッテリーは2ストライクからのスクイズを読んでウエストし、バッターを空振り三振にとったが、なんと三本間に挟まれたランナーのヘルメットに送球があたり、ボールが転々とする間に2者がホームインし、2点を追加され、5対1となった。

今年の大社は劣勢になっても全くひるまない。5回終了後のグランド整備のなか、ベンチ前の円陣で坂本監督からの指示を聞いた選手たちは「絶対に逆転する」と誓い合った。そして6回表、大社打線がまたもや火をふいた。先頭の2番松浦がセンター前ヒットで出塁し盗塁すると、1死後、中井・大島・飯塚・永田の4連打で一気に3点をとり5対4と1点差につめよった。

さらに7回表、先頭の1番手錢が四球で出塁し、送りバント・四球などで迎えた2死1・2塁のチャンスに、今大会絶好調の5番大島が、ワンバウンドしそうな内角低めのむずかしい変化球をレフト前に運び、手錢がホームイン!ようやく5対5に追いついた。さらに6番飯塚がアウトコースの変化球をレフト前にクリーンヒット、中井が逆転のホームを踏んで6対5と試合をひっくりかえした。

最終回、大社の攻撃は3人でおわり、その裏、簡単に2死をとったあと、代打と1番打者に連続ライト前ヒットを打たれ、一打逆転のピンチを迎えるが、最後の打者をファーストゴロに打ち取りゲームセット。最初から最後まで気の抜けない厳しい試合をなんとかものにすることができた。

終わってみれば大社は11安打、安来は10安打、予想通りの打ち合いとなったが、4回以降、エース永見が要所をおさえ、チャンスでタイムリーヒットがでた大社ナインの精神力の強さが勝利につながった。準決勝は、出雲商業。このチームも打線が好調であり、準々決勝では強打の石見智翠館を完封し波にのっている。初回から気をひきしめて決勝の舞台にあがりたい。


3回戦 大社8-5矢上
<戦評>
昨夏の再戦となったこの試合、大社の先発は出雲農林戦につづいて福間雄、矢上は予想どおり滝田が先発した。

1回表、福間雄は2者連続でサードゴロにしとめると、3番から三振を奪うなど立ち上がりはまずまずであった。その裏、先頭の手錢が四球で出塁し、送りバント、死球で1死1・2塁のチャンスとなった。ここで4番中井はピッチャー正面の強いゴロ、5番大島もレフト正面のライナーと先制のチャンスを逃した。

2回表、福間雄がつかまった。先頭打者にカーブをレフト前に運ばれると、送りバントののち、3連打を浴び、3点を失った。ここで、エース永見を投入し、後続を打ち取った。その裏、1死後永田が左中間2塁打で出塁するが、得点にいたらずいやなムードがただよっていた。

しかし、3回裏大社打線に火がついた。1死後、2番松浦がライトの左をやぶる3塁打で出塁すると、つづく永見のセカンドゴロの間に1点。ここから中井・大島・飯塚・永田の4連打で一気に3対3の同点に追いついた。

さらに4回裏、先頭の9番松井がライト前ヒットで出塁すると、つづく手錢がライト横へタイムリー3塁打、1死後永見がレフト線タイムリー2塁打、2死後、大島のレフト前タイムリーヒットで6対3と勝ち越した。

そして、7回の攻防が勝敗の分かれ目となった。7回表、先頭打者のサードゴロを三塁手が悪送球で出塁させ、いやな流れとなったが、つづく8番打者の強めのバントを永見がうまくさばいてダブルプレーをとった。その裏、先頭の永田が内野安打で出塁すると、送りバントで2塁におくり、2死後、1番手錢がレフト前に貴重なタイムリーヒットを放った。この1点が大きかった。

つづく8回表、疲れの見えだした永見がつかまった。先頭打者にライト前ヒットを許すと、1死後3番打者にレフトポール際に2ランホームランを打たれ、7対5となった。さらにヒット2本とワイルドピッチで1死1・3塁のピンチを迎えた。ここで6番打者の難しいショートゴロを松浦が上手にさばき、自ら2塁ベースを踏んで1塁に送球しダブルプレーをとった。

最終回、先頭の松浦が出塁すると、送りバントで2塁へ進塁。ここで大社にとってラッキーなことがおこった。ブルペンで投球中のボールがグランド脇をころがっているのを見た1塁塁審がタイムを宣告したが、他の審判は気がつかず、プレーは継続。4番中井の打球はレフトフライとなった。しかし、タイムが有効とみなされ、プレーは不成立、打ち直すことになった中井が見事にレフト前タイムリーヒットを放ち、8点目をとった。

その裏、大社は守護神・勝部大を投入。先頭打者から三振をとると、後続も打ち取り8対5で勝利した。終わってみれば大社打線は17安打を放ち好調をキープ。投手陣も5点取られたが、今大会初登板の永見・勝部大の活躍もあり、福間雄・土江とともに今後に期待がもてる。次は安来高校、こちらも打線が好調である。投手陣の駒数も多く、大社とよく似たチームである。自分たちの野球をすることをこころがけ、準々決勝を突破したい。


2回戦 大社6-1出雲農林
<戦評>
いよいよ甲子園をかけた熱い戦いが始まった。今大会は開星・大東などの有力校が早々に敗退する波乱含みの大会となっている。

1回表、先発の福間雄はいきなりヒットと死球と送りバントで1アウト2・3塁のピンチを迎えた。ここで相手の4番打者と力勝負を挑み、センターフライに打ち取ると、5番は四球で満塁、6番をピッチャーゴロにうちとり、なんとか無失点で切り抜けた。

先制したのは大社。2回裏、先頭の大島が右中間2塁打で出塁。つづく福間雄の送りバントが野選となりノーアウト1・3塁とチャンスはひろがった。1死後、9番松井の内野安打の間に1点先制。応援歌「玄界灘の~」が球場内に響き渡った。そして、2死後、2番松浦がライトポール際に特大のスリーランホームラン!最近の練習でも好調であったが、見事な一発で一気にリードを4点とした。

つづく3回表、またも2死満塁のピンチを迎えるが、福間雄がふんばり点を与えなかった。するとその裏、2死後、6番大島が右中間の深いところにソロホームランを放ち、リードは5点に広がった。大島はこの試合3安打の大活躍だった。

4回表から福間雄は上体の力が抜け、打たせて取るピッチングを展開し、7回まで点を与えなかった。一方、大社は5回裏、四球で出塁した永見が盗塁と暴投でノーアウト3塁のチャンスに8番永田の内野安打で6点目を奪った。

8回表から福間雄にかわり土江が登板、内野安打などでピンチを招いたが、丁寧に低めをつく投球で2回を1点に抑え、6対1で勝利した。

この試合、11安打を放つものの、残塁が9つもあるなど拙攻が目立った。投手陣は6安打1失点とまずまずの内容であった。次は昨夏も対戦した矢上高校である。昨夏、打ちあぐねた瀧田投手をどう打ち崩すのか、また好調な矢上打線を大社の投手陣がどう抑えるかがポイントとなる。

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